羽生結弦選手の2018-2019シーズン初戦はカナダで行われた「オータムクラシック」です。
右足のけがのため、調整が遅れており、どうなることかとファンを心配させていました。
今回は、オータムクラシックをまとめて振り返ってみたいと思います。
衣装はリスペクト?手袋を使用する理由
2年ぶりの新プログラムとあって、ファンの中ではどんな衣装なんだろう?とネットでも期待する声が多く上がっていました。
羽生結弦選手がリスペクトするジョニー・ウイアーさん、エフゲニー・プルシェンコさんの代表的なプログラムを使用するとあって衣装も似せてくるのでは?
そんなファンの声に羽生結弦選手は応えてくれたのです。
ジョニー・ウイアーさんも『秋によせて』では濃淡のブルーの衣装でしたが、ショートはそれを彷彿させるような淡いブルーの衣装。
羽生結弦選手には珍しく大胆に胸が深く開いています。
装飾された胸元と裾のフリルもどことなくジョニー・ウイアーさんの衣装に似た感じでした。
https://www.youtube.com/watch?v=6qzPDd3XpNE
さらにフリーは、黒を基調にゴールドのラインと羽根のモチーフが散らばめられた今までにないシックな衣装です。
生地は粗く編んだような透け感のある生地。
エフゲニー・プルシェンコさんは黒く透けた衣装が多かったのですが、そこに似せつつも自分らしさのある衣装ではないしょうか。
黒い透けた手袋や、腕の部分の透け感は、エフゲニー・プルシェンコさんへのリスペクトを感じさせます。
https://www.youtube.com/watch?v=2vIZ7A3pFGA
手袋は衣装の一部でもあるのですが実は、実用的な面も持ち合わせています。
羽生結弦選手がハイドロブレーディング(エッジを深く倒して体を非常に低い姿勢でほとんど水平に伸ばして滑る動作)の際に氷に指を直接つけます。
その時にけがをする可能性があるため手袋をするのです。
ショートの時も素手のように見えますが、肌色の手袋をつけているのです。
平昌五輪でファンになった人のことを「ピョン落ち」と言いますが、今回の衣装で落ちたファンにいるのではないでしょうか。
オータムクラシック2018の結果
羽生結弦選手の「オータムクラシック」の結果は次の通りです。
ショートプログラム
『秋によせて』 総合得点:97.74(TES:52.34、PCS:40.45)
最初のジャンプ、4回転サルコーは綺麗に決まります。
ジャンプへの入りは、ハビエル・フェルナンデス選手を真似たもの。
羽生結弦選手にとって彼がとても大事な存在という意思表示なのではないかと思います。
2つ目のジャンプはトリプルアクセル、ほぼ助走なく跳んであれだけ美しいジャンプが跳べるなんで素晴らしいです。
コンビネーションは4回転トーループと3回転トーループでしたが、最初のジャンプで少しつまって着氷も乱れてしまいました。
羽生結弦選手はジャンプというイメージを持っている方も多いと思いますが、実はスピンがとても素晴らしいのです。
ただ、今回はちょっと不安定でしたね。
フリースケーティング
『Origin』 総合得点:263.65(TES:79.01、PCS:87.90)
まず、冒頭の4回転ループ、着氷が少しギリギリだった印象です。
次の4回転トーループはさすがの美しさ!1番安定したジャンプだったと思います。
前半最後のジャンプは3回転ループで綺麗に着氷しました。
後半の最初のジャンプはコンビネーションの予定でしたが、1つ目の4回転サルコーで転倒してしまいました。
2つ目が4回転トーループ+トリプルアクセルの予定でしたが、1つ目のジャンプが2回転になってしまい、2つ目を跳ぶことができませんでした。
実は、2つ目のジャンプにアクセルジャンプを付けるというのはコンビネーションではなくシークエンスとなるそうです。
アイスショーでは以前から披露はしていましたが、シークエンスは基礎点が0.8掛けになってしまうため、公式戦で跳ぶことはありませんでした。
それでも敢えて行うのは、羽生結弦選手にとって今跳べる最高のコンビネーションだからだそうです。
次のジャンプはトリプルアクセル+2回転トーループ(両手タノ)、最後がトリプルアクセルでした。
4回転トーループ+トリプルアクセルが決まっていれば、最後は別のジャンプになったと思います(3回転フリップだったようです)。
次は11月2日からフィンランドで行われるグランプリシリーズ「フィンランド大会」。
今回の反省を踏まえ、もっと素晴らしい演技を見せてくれるのではないでしょうか。
FSは時間短縮に!SPのスピンの失敗は?
2018-2019シーズンからルールが改正され、男子フリーの演技時間は今までの4分30秒から4分に短縮されました。
また、跳べるジャンプの数も8から7に変更されています。
時間が短くなってジャンプも数が減ったのだから楽になるのでは?と思いますが、そんな単純なものではないようです。
短い時間に今までやっていたことを詰め込まなければいけないのですから、休んでいる暇はありません。
試合後、羽生結弦選手もこのプラグラムを滑る体力をつけなければいけないと話していましたが、それは羽生結弦選手だけではありません。
ちょっと驚いたのは、ショートのスピンがひとつノーカンになってしまったこと。
スピナー羽生結弦がスピンを失敗するなんて今まで見たことがありません。
問題のノーカンになったのは足替えのシットスピン。
大腿部が氷と並行になるシットの姿勢の条件を満たしていなかったため得点なしとなってしまったようです。
さらに、フリーのコンピネーションスピンは前半、後半で回転不足を取られています。
スピンが不調だった理由として、コーチは「実戦から長期離脱することで足に震えがありうまくコントロールできなかった」とコメントしています。
やはり、原因は練習不足ってことだと思うので試合をこなすことにどんどん良くなっていくと思います。
まとめ
日本だけでなく、全世界から注目された羽生結弦選手の初戦。
羽生結弦選手にとっては満足のいくものではなかったようです。
試合後、羽生結弦選手は「今回試合に出て良かったなと思うのは、やっぱり試合で勝ちたいなっていう気持ちがすごく強くなってきたこと。
五輪が終わってからちょっと抜けていた気持ちの部分がまた自分の中にともった。本当に火をつけられたような状態」と話しています。
すでに五輪を連覇、タイトルを獲るスケートではなく、自分の好きなことをしてほしいと思う反面、王者としての羽生結弦も見たい!と思うファンも多いのではないでしょうか。
やっぱり羽生結弦選手は闘志メラメラ!が彼らしい本来の姿。
あまり熱くなって練習しすぎでけがをしないよう、コントロールしてシーズン本番に備えてほしいと思っています。