2019年6月に行われた日本選手権で100、200mの2冠を達成し、9月に行われる世界陸上の代表に内定したサニブラウン・アブデル・ハキーム選手。
日本の男子短距離界の期待の星であることは周知の通りだと思います。
今回は、そのサニブラウン選手の走り方について解説します。
また、プロフィールや歴代記録についても調査してみました。
サニブラウン選手の走り方
サニブラウン選手の走り方を見ると、お世辞にも綺麗とは言えません。
無駄な動きが多いというか・・・。それでどうして9秒台のタイムが出るのでしょうか。
サニブラウン選手は今まで日本にはいなかった大型の短距離選手です。
そのためストライドが長く、2m40cmを超えるという分析結果があります。
100mのピッチ数は44歩で、現世界記録保持者のウサイン・ボルト氏は42歩です。
日本選手では、桐生祥秀選手が9秒98で走ったときの歩数は47.1歩、山縣亮太選手がい48.5歩だという分析結果がありますが、この数字は日本選手は基本的にピッチ走法なのに対し、サニブラウン選手はストライド走法だということを示しています。
サニブラウン選手は自身の走りをさらに進化させるため、高校卒業後にフロリダ大学へ進学しました。
そこでの科学的な技術アプローチ、効果的なトレーニングの導入が功を奏したと言えるのではないでしょうか。
また、型にはめないアメリカの指導がサニブラウン選手に合っているという見方もできます。
綺麗とはいえないフォームでも、楽しく走る、気持ちで走るということを原点ににしているからこそよいタイムが出ているのではないでしょうか。
サニブラウン選手のプロフィール
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名前:サニブラウン・アブデル・ハキーム
国籍:日本
生年月日:1999年3月6日(20歳)
身長:187センチ
体重:79キロ
血液型:O型
出身地:福岡県北九州市(陸連の公式サイトは東京都)
所属:フロリダ大学
サニブラウン選手の経歴
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サニブラウン選手は、福岡県北九州市でガーナ人の父ラティフさんと日本人の母明子さんの間に生まれました。
ラティフさんは元サッカー選手、明子さんは100mとハードルの選手でインターハイなど全国大会にも出場経験があるとのことです。
サニブラウン選手も子供の頃はサッカーをやっていたのですが、サニブラウン選手には団体競技は合わないという明子さんの勧めもあり、小学校3年の時に陸上競技を始めたのだそうです。
中学は地元の福岡を離れ、東京の城西大学附属城西中学校へ、そして高等学校へ進学します。
陸上の強豪校と言われる同校でサニブラウン選手は才能を開花させたのです。
けがとの闘い
サニブラウン選手はこれまで順調にキャリアを築いてきたわけではなく、常にけがとの闘いだったようです。
2015年の世界ユース選手権でこの大会日本人初の2冠を達成し、一躍名前が知れ渡ったサニブラウン選手。
同年の世界陸上に日本最年少出場を果し、200mでは準決勝まで進みました。
翌年のリオ五輪での活躍も期待されたのですが、代表選考会となる日本選手権の直前に練習中のけが(左大腿部肉離れ)により、五輪出場は叶いませんでした。
2017年には練習拠点を海外に移します。
9月から米フロリダ大学への進学が決まっていたのですが、その前に南アフリカやオランダでトレーニング。日本選手権では14年ぶりに短距離2冠を達成するのです。
しかし、2018年5月に行われた大学地区選手権の男子200m予選で右脚付け根を負傷、8ヶ月間リハビリに専念し、2019年3月に室内レースで復帰を果しました。
サニブラウン歴代記録
【#世界陸上】🇬🇧
6日目(8/9)リザルト掲載
■男子 #200m 準決勝#サニブラウンアブデルハキーム 20.43決勝進出🙌‼️🙌https://t.co/4p7L9nGmgV#陸上 #サンライズレッド #世界選手権 #jaaf
写真提供:フォート・キシモト🇯🇵 pic.twitter.com/wck3HEWigX— 日本陸上競技連盟 (@jaaf_official) August 10, 2017
年 | 大会 | 100m | 順位 | 200m | 順位 |
2015年7月 | 世界ユース選手権(コロンビア) | 10秒28 (-0.4) | 優勝 | 20秒34 (-0.4) | 優勝 |
2015年8月 | 世界選手権(北京) | - | 20秒47 (-0.2) | 準決勝進出 | |
2016年5月 | 静岡国際 | - | 20秒54 | 2位 | |
ダイヤモンドリーグプレイベントレース | 10秒22 | - | |||
2017年6月 | 日本選手権 | 10秒05 (+0.6) | 優勝 | 20秒32 (+0.3) | 優勝 |
2017年8月 | 世界陸上(ロンドン) | 10秒28 (-0.2) | 準決勝進出 | 20秒63 (-0.1) | 7位 |
2018年3月 | 競技会(米フロリダ州) | 10秒46 | - | ||
2018年4月 | 競技会(アーカンソー州) | - | 20秒64 | ||
2019年5月 | 米大学南東地区選手権 | 9秒99 | 優勝 | - | |
2019年6月 | 全米選手権 | 9秒97 | 3位 | 20秒08 | 3位 |
日本選手権 | 10秒02 (-0.3) | 優勝 | 20秒35 (-1.3) | 優勝 |
サニブラウン選手は2019年5月11日に大学南東地区選手権の100m決勝で、桐生祥秀選手の持つ9秒98に次ぐ日本歴代2位となる9秒99をマークしました。
勢いに乗るサニブラウン選手は6月に行われた全米大学選手権の100m準決勝で追い風参考記録ながら9秒96を出すと、翌日の決勝では9秒97の日本新記録を達成したのです。
200mについても末次慎吾選手の持つ20秒03に次ぐ20秒08をマーク、日本歴代2位となりました。
東京2020 男子100m、200m選考基準
参加標準記録 100m:10秒05
200m:20秒24
記録対象期間:2019年5月1日~2020年6月29日
まとめ
常に記録を求められ、メディアが9秒台、9秒台と騒ぐ中で自己の記録に挑戦するのは並大抵の事ではありません。
日本選手権で世界陸上の参加標準タイムを突破し、100mと200mの代表に内定しているサニブラウン選手。
ベストのコンディションを保つことがまず自己ベスト更新のカギではないでしょうか。
桐生祥秀選手が「9秒台を出さないと喜んでもらえない」と話をしていたのを聞いたことがあります。
メディアもあまりプレッシャーをかけず、サニブラウン選手の偉業達成の瞬間を待ってほしいと思います。